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Column

Image Works in Yasudacho, Kochi 安田町オフィス

2015/09/07

Image Worksフィールドワーク in 安田

歩き、見て、触れ、感じて、そしてまた歩く、––– フィールドワークとは、その積み重ねです。そして、フィールドワーク無くしては映画社高知プロジェクトは始まらない。

研究者ではない私たちは、そこで見つけたものを記録するのが目的ではなく、そこから得た感性をクリエイターとしての形にしようと努めています。カメラマンはその中に最高の被写体を探し、ディレクターはそこに眠る物語を掘り起こそうとする。

でも、フィールドに出たからといって必ず見つけられるものではなく、刻々と変わる自然の表情は、なかなか思い通りの顔を見せてはくれません。できることはただ、フィールドに散りばめられた小さな点のような自然の事象をひとつひとつ逃さず拾い集めつづけること。いずれそれら小さな点の集まりが、ふとした瞬間に物語を奏ではじめるのです。これが、地元にオフィスを構えた映画社だからこそできるものづくりと言えるでしょう。

さらに、”よそ者”の視点というのも大事な要素で、そこに住む住民として帰属していないことが先入観をなくし、地元民の気づかない価値を見つけられるのだと思います。

これは、東京での対クライアントにおいても同じことが言えるでしょう。顧客を理解し、長年一緒にものづくりをさせていただくうちに、顧客と同じ価値観で物事を考えるようになります。これは一見、優秀な営業のありかたのように見えますが、一方で、やりたいことではなく、やれることをご提案するという落とし穴に陥ります。社内で通らないかもしれない新企画のリスクをご担当者に負わせるよりも、無難な企画でスムーズに進行させることを選んでしまう。そこに身を置いていない“よそ者”だから作れるアイディアを出してこそ、お客様に新しい価値をご提供できるのでは、と思います。


自然のものはどれも美しい。

路に小さな山野草を見つけて、なぜ美しいのか、どのように美しいのかを洞察し、なぜそこにいるのかを想像する。するとそこにいる必然性が浮かび、小さな物語が生まれます。自然のものは単体で存在することはなく他と密接に影響しあっているので、そこを取り巻く土壌の物語も見えてきます。オフィスを構えた当初、何もないと思っていた安田町にこそ ”あった”、それをいま実感しています。


フィールドワークでは、こんな出会いも。ニホンカモシカ(魚梁瀬にて)
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