5月に獨協大学の「全学総合講座」で「芸術と社会 芸術が社会の中で果たす役割について」と題された特別講義90分を担当したのに続き、明星大学情報学部にてゲストスピーカーとして講義を行いました。テーマはともに「フランス映画の新しい波」。1950年代後半、映画に対する新たなヴィジョンを提示しながら、フランスで若手監督たちが先導した既存の映画製作を覆すムーブメント、ヌーヴェル・ヴァーグについて紹介し、映画が社会に与える影響への思考(一端でも)を促すという趣旨の講義です。映画の専門知識がなくとも、ヌーヴェル・ヴァーグという言葉を初めて聞いた人でも、とにかく映画に興味を抱いてもらいたい。その一心で楽しく、わかりやすく、を心がけて行っています。
個人的には映画の研究に携わり、フィルムについて公的な文章を書くようになった一因に、ヌーヴェル・ヴァーグの作品の存在があるので、自らの「ルーツ」のようなものに触れるテーマでもあります。講義後に書かれた獨協大学の学生の方々の授業に対する丁寧で熱心なコメントを読んでいると、改めて身の引き締まる思いがしました。講義を行う、レビューを書くなど、形は異なれど、実際に作品を見るという人々のアクションにつながることを願っています。
シネマテーク・フランセーズ(映画の保存、修復、上映などを行うパリの文化施設。アメリカの建築家、フランク・O・ゲーリー設計による建物も訪れる価値あり)では10月8日から1月25日まで、ヌーヴェル・ヴァーグを牽引したフランソワ・トリュフォーの回顧展、特集上映が開催されます。チャンスのある方は是非。
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